WORLD BEER · HOPS & GRUIT
ホップを使わないビールがある?グルートの歴史・味・探し方を解説
ビールにホップは欠かせないと思っていませんか。実は、ホップを使わず、ハーブなどで風味を付ける醸造の例があります。その入口になるのが「グルート」です。ただし、ホップがなければ苦くない、甘い、というわけではありません。歴史的な言葉と現代のブランドを分けながら、原料の役割、味の楽しみ方、商品ごとの確かめ方を見ていきましょう。国内で買えるかどうかも、ホップの有無とは別に確認します。
ハーブで風味を付ける例
ホップとは違う原料で、香りや味を組み立てる醸造があります。
ホップなし ≠ 苦味なし
ハーブなどが苦味をもたらすことも。甘さや飲みやすさは別の条件です。
名前より商品ごとの確認
「グルート」「ハーブ入り」だけで、原材料を決めつけないことが大切です。
2026年10月23日確認 · ワールドビール編集部 · 広告・アフィリエイトリンクを含みます
苦味の少なさを優先して選びたい方は、苦くないビールの選び方も参考にしてください。この記事は、風味をつくる原料の違いを楽しむ読み物です。

ホップを使わないビールはある? 原料の役割から考える
あります。ビールの発酵で糖をアルコールなどへ変えるのは酵母で、ホップではありません。ホップを使わない醸造も成り立ちます。現代の具体例は後ほど紹介しますが、まずは「発酵を担うもの」と「風味を付けるもの」を分けてみましょう。
麦芽などの穀物
発酵に使う糖のもと
麦汁づくりへ酵母
糖を使って発酵
アルコールなどを生む水
ビールのベース
仕込みを支えるホップ・ハーブ等
風味付けの選択肢
香りや苦味の組み立て主な役割の整理です。原料を単純に置き換えるレシピや、家庭での醸造手順ではありません。
一般的なビールでは、ホップが苦味や香りを担います。麦芽の香ばしさ、酵母がつくる香りなども重なって、ひとつの味になります。ホップだけがビールの味をつくっているわけではないため、不使用の商品にもさまざまな表情があるのです。
ホップは泡や保存性にも関わりますが、品質は醸造・衛生管理・包装・保管などを含めて設計されます。「ホップがないからすぐ傷む」「防腐剤を多く使う」と商品情報なしに決めることはできません。基礎から整理したい方は、麦芽・ホップ・酵母から分かるビールの造り方へ。
グルートとは? ハーブを使う醸造の考え方
歴史の文脈でいうグルート(gruit)は、醸造に使われたハーブなどの混合物を指す言葉です。ひとつの植物の名前ではありません。現代では、そうした伝統に着想を得たビールをグルートと呼ぶこともあります。
gruitとGruutは、ここを分ける
gruitは歴史的な混合物や醸造の呼称。Gruutはベルギー・ゲントの醸造所・ブランドです。日本語ではどちらも「グルート」となりますが、一般的な言葉と固有名詞は同じではありません。
| 醸造の例 | 風味付け・味の幅 | 確認する表示 |
|---|---|---|
| ホップ入りの一般的なビール | ホップを使用。香りや苦味は商品ごとに違う | ホップ・他の原材料 |
| ホップを使わないグルートの例 | ハーブ等を使用。苦味がある例も | 不使用の説明と商品別原材料 |
| ホップとハーブを併用 | 両方で風味を組み立てる。味は一様でない | ハーブだけでなくホップ欄も |
キリンの歴史解説には、ヤチヤナギ、ペパーミント、月桂樹などが使用例として登場します。これは歴史的な原料の例で、後述のGruutの商品にこの3種が入っているという意味ではありません。配合を公開していないメーカーの中身を、昔の原料一覧から推測しないようにしましょう。
現代の名称と配合も一律ではありません。たとえばスコットランドのWilliams Bros.が造るFraochは、ヘザーを使う一方、現行の公式原材料にはFirst Goldホップも掲載されています。「ハーブ入り」と「ホップ不使用」が同じでない、分かりやすい例です。
なぜ昔はハーブを使った? 味と権利がつながる歴史
ホップが広く普及する以前のヨーロッパの一部では、さまざまな植物を使って醸造飲料に風味を与えていました。現地で得られる原料や習慣の違いがあり、「中世の一杯」をひとつの味にまとめることはできません。
ここで面白いのは、原料が味だけでなく、権利や収入にも結び付いていたことです。グルートの生産・販売をめぐる権利は「グルート権」と呼ばれ、領主や教会などの財源に関わりました。どの原料を使えるか、誰から買うかが、造り手の仕事にも影響していたのです。
ベルギーのMusea Bruggeは、ブルッヘのグルート販売独占に関わる家族と、後のビールに対する税の収入を紹介しています。これはひとつの都市の例。すべての地域で同じ制度が続いた、という話ではありません。
ハーブなどを使う醸造
土地や時代によって、用いる原料もさまざま
グルートをめぐる権利
生産・販売や収入に関わる制度が存在
ホップを使う醸造が広がる
地域ごとに広がり方が異なり、従来の醸造とも併存
現代の再解釈
伝統を参考に、今の技術で商品をつくる
ヨーロッパ全体が一斉に切り替わった年表ではありません。
ホップの普及を、税への反発だけや一つの法律だけで説明するのは単純すぎます。地域の制度や醸造の事情は違い、グルートがある年に突然消えたわけでもありません。ビールの歴史・中世編では、修道院や街の醸造所という別の視点からも楽しめます。
現在のグルートは、昔の味を必ず完全再現したものではなく、伝統を参考にした現代の醸造として見ると理解しやすくなります。グラスの向こうに歴史を想像しつつ、飲む商品の実際の原材料と説明に戻るのがよい楽しみ方です。
どんな味? ホップがなくても苦いことがある
ハーブを思わせる香り、スパイシーな印象、麦芽の甘みや香ばしさ、発酵から生まれる香り。こうした要素のどこに重きを置くかで、味は変わります。グルートという名前だけで「薬草っぽい」「甘い」「軽い」と一括りにはできません。
ホップ香が苦手な人と、苦味そのものが苦手な人では、探す条件も違います。前者はホップ不使用という原料条件に注目できますが、別のハーブの香りが好みに合うかも大切。後者は、不使用の確認に加えて苦味の説明を読む必要があります。
ホップ不使用
原料の条件
商品別の原材料・メーカー説明を確認苦味が少ない
味の特徴
苦味の説明と自分の好みを確認ハーブ入り
原料の追加
ホップも併用しているか確認互いに同じ条件ではありません。IBUの低さや0という数値だけでも、ホップ不使用は証明できません。
香りの比喩も、原材料とは分けましょう。「柑橘を思わせる」とあっても、果汁を使っているとは限りません。同様に、麦芽の甘い香りと実際の甘さ、ハーブの清涼感と炭酸の弱さも別の話です。
商品を選ぶときは、香り・苦味に加えて、酸味、炭酸の感じ方、度数も見ると失敗を減らせます。ホップ不使用だから低炭酸、低アルコール、グルテンフリーになるわけではありません。条件をひとつずつ確かめる姿勢は、珍しいビールを探すときほど役立ちます。
現代のホップ不使用商品の例:公式説明を商品単位で読む
ここでは、個別の公式説明でホップ不使用を確認できた海外の参考例を紹介します。国内で今買える商品一覧ではありません。2026年10月23日の確認範囲では、この商品について国内の販売条件を確認できていません。
Gentse Gruut 00|ベルギー・ゲントの参考例

海外参考・国内販売未確認
- 醸造所・国
- Ghent City Brewery(Gruut)/ベルギー
- 確認した仕様
- 海外公式:33cl瓶(330ml)/0.03%/推奨提供温度4℃
- ホップ不使用の根拠
- 商品個別の公式説明に、ホップを使わない旨を明記
- メーカーの味の説明
- ハーブ由来の苦味と、ほのかな柑橘を思わせる後味
- 国内入手状況
- 今回の確認範囲では未確認。終売や日本配送不可と断定する意味ではありません
ハーブでどのような苦味や香りをつくるのかに関心がある方の、調べる入口になる商品です。苦味を避けたい人に無条件で薦める例ではありません。
名前が「00」でも、公式掲載値は0.03%です。0.00%の商品として扱わず、飲酒に関する条件がある方は購入地域の表示と実際の商品を確認してください。公式の柑橘表現も風味の説明で、果汁使用の証明ではありません。
Gruut公式でGentse Gruut 00の商品説明を見る
以下は「Gentse Gruut 00 Blond 330ml」の商品名検索です。国内での販売・在庫は未確認で、該当商品がない場合や別商品が表示される場合があります。通常のBlond(5.5%)やStout 00との取り違えに注意してください。
料理を合わせるなら、風味から少しずつ
以下はGruut 00の公式の苦味・柑橘を思わせる後味を手がかりにした編集部の提案です。実食した組み合わせや、メーカー推奨料理ではありません。
- ハーブを使った鶏肉料理:料理の香りとビールのハーブの印象を並べて楽しむ考え方。ハーブは控えめから試します。
- 穏やかな風味のチーズ:チーズの風味のあとに、後味の柑橘の印象がどう感じられるかを少量で確かめる提案です。
商品全体が甘い・爽やかと決めず、ひと口ずつ見てみましょう。専用グラスは必須ではありません。形や容量に迷ったら、ビールグラスの種類と選び方へ。
同じGruutでも、全商品をまとめて判定しない
公式商品一覧にはBlond、Wit、Dark Amber、Infernoなどもあります。ブランド全体の説明だけで、それぞれの原材料を確定することはできません。特にInfernoは、本記事ではホップ不使用の候補に含めていません。購入時には、各商品の最新の原材料表示を確認してください。
日本で探すときは、何を確認する?
「グルート」「gruit」「hop-free」「without hops」は調べ始める手がかりになります。ただし検索結果の見出しだけで選ばず、次の順番で商品を確かめましょう。
「グルート ビール」で探す
一般的な検索結果へのリンクです。Gruut 00以外の商品やホップを含む商品が表示される場合もあるため、商品ごとの原材料・度数・容量・在庫を確認してください。
- 正式な商品名を合わせる:同じブランドの別商品、通常版と低アルコール版を区別します。
- 個別の原料説明を読む:メーカー、輸入元、実際の日本語ラベルでホップの有無を確認します。
- 販売情報の時期を見る:過去の紹介、売り切れ、終売、取扱い未確認は分けて考えます。
- 注文条件をそろえる:容量、度数、本数、送料、対象市場の仕様を確かめます。
国内の専門店に尋ねるなら「ホップ不使用とメーカーが説明している、現在取り扱い中の商品はありますか。商品名と原材料表示も確認したいです」と伝えると、単に苦味が控えめな商品との取り違えを減らせます。海外ショップで販売中でも、日本へ配送できるとは限りません。
アレルギー等の事情がある場合は、記事の分類ではなくメーカーや輸入元へ個別に確認してください。ハーブや伝統製法という言葉だけで、安全性を判断することはできません。
海外のbeerと、日本語ラベルの「ビール」は別の確認
海外でbeerと紹介される飲料が、日本の商品表示でも同じ品目になるとは限りません。日本の酒税法上のビールの定義にはホップが含まれるため、ホップ不使用の商品をそのまま同じ品目とは扱えません。国内で購入するときは日本語ラベルの品目を確認し、配合が分からない商品を一律に「発泡酒」と決めないようにしましょう。
ホップの有無だけでなく、造り方や文化の違いも知りたい方は、ベルギービールの種類が多い理由やベルギービールの銘柄一覧も読んでみてください。
よくある質問
ホップがなくても発酵しますか?
はい。糖をアルコールなどに変えるのは酵母です。ホップは主に苦味や香りなどに関わり、発酵そのものを担う原料ではありません。
ホップを使わないと苦くありませんか?
いいえ。ハーブなどによって苦味を感じる例もあります。ホップの有無と、苦味の弱さは別に確認する必要があります。
グルートは植物の名前ですか?
ひとつの植物の名前ではありません。歴史的には醸造に使うハーブ等の混合物を指す言葉で、現代では関連する醸造の呼称にも使われます。
グルートという商品はすべてホップ不使用ですか?
名前だけでは判断できません。一般的な呼称gruitとブランドGruutも区別し、商品個別の説明と原材料を確認してください。
ハーブ入りのビールはホップを使いませんか?
ホップとハーブを併用する商品もあります。ハーブの記載だけでなく、ホップを使っているかも確認しましょう。
日本の通販で買えますか?
今回紹介したGruut 00は、国内での販売条件を確認できていません。海外の参考例として紹介しているため、国内専門店へ現行の取扱いを尋ねるか、メーカー・輸入元の案内を確認してください。
日本では「ビール」と表示できますか?
日本の酒税法上のビールの定義にはホップが含まれます。海外でbeerと呼ばれる商品をそのまま同じ品目と考えず、国内での個別品目は日本語ラベルや輸入元の説明で確認してください。
ホップ不使用ならノンアルコールやグルテンフリーですか?
どちらも別の条件です。麦芽などの穀物、発酵、アルコールの残り方はホップの有無だけでは決まりません。度数と原材料・表示を個別に確認してください。
まとめ:ホップの有無から、味の世界を広げよう
ホップを使わない醸造を知ると、ビールの味は一つの原料だけでは決まらないことが見えてきます。グルートの歴史を楽しみながら、名前ではなく商品ごとの原材料と風味を確認する。そのひと手間が、自分に合う一杯を探す近道です。
出典・確認情報
参照した情報と確認日を開く
確認日:2026年10月23日。商品説明はメーカーの海外公式、歴史はキリンとMusea Brugge、原料・国内品目は国税庁の資料を参照しました。香味は公式説明の要約で、料理の組み合わせは編集部の提案です。
- 国税庁:酒のしおり・令和8年7月:日本の酒類の分類とビールの定義
- 国税庁東京国税局:ビールの原料と製法:原料と発酵の役割
- Gruut:公式商品一覧:Gruut 00の個別不使用説明・海外仕様・香味
- キリン:グルート権とグルートビール:歴史の概説・ハーブ使用例
- キリン:中世のグルートビール:グルートの定義と復元の難しさ
- Musea Brugge:Gruuthuseの収蔵資料:ブルッヘのグルート販売権と収入
- Brewery History掲載論考:The essence of gruit:歴史的なgruitの内実と地域差についての研究
- Williams Bros.:Fraoch:ハーブとホップを併用する現行例